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2010.11.10
平成22年度の税制改正で、個人年金で生命保険の評価方法が変わりました。
簡単に言えば、今までは相続税の評価上は安くなっていた制度を廃止されてしまったのです。
これによって、売れなくなったのではと思われた年金型の保険(※1)ですが、全然、そんなことはありません。
※1 年金型の保険とは、被保険者が契約を行い、保険料を払い込みますが、受取人だけ、特定の人物を指定しておきます。相続が発生したあと、何年間にも渡って、その保険金を受け取れるものです。
理由は、生命保険金は、指定された人の特定の財産になるため、遺産分割の対象にもならないだけではなく、遺留分減殺請求の対象にもならないという最高裁の判決があるのです。
そのため、相続での争いを減らしたい場合、特定の人物にお金を残してあげたい場合には、大変、有効な金融商品なのです。
また、特定の人物とは、相続人でなくても問題ありません。
生前にお世話になった人でも構わないのです。
もちろん、民法上、相続財産とはみなされないだけであり、相続税法上は、みなし相続財産になるため、税金はかかります。
もし、財産を相続した人が、配偶者や直系親族でなければ、相続税が2割加算されてしまいます。
もし、生命保険料を生前に贈与して生命保険金を渡せば同じではと考えるかもしれませんが、贈与された人は特別受益者となるため、遺留分減殺請求の対象になってしまうのです。
つまり、生命保険金の受取人として、財産を相続させることには、税金が増えたとしても、価値があるのです。
ただし、あまりに露骨に、遺留分を侵害するやり方はいけません。
例えば、相続財産が1億円の夫が、その全額を生命保険にして、愛人を特定の人物として指定すれば、残された妻や子供は、その後の生活に困ってしまいます。
これは、やりすぎなので、愛人は、妻や子供から、遺留分減殺請求を行使されてしまうはずです。
ある程度、常識の範囲内で行ってください。
では、これは、個人年金の生命保険だけの特別な性質なのでしょうか。
実は、掛け捨ての生命保険であろうが、終身保険であろうが、医療保険のうち一部、積立式になっている生命保険であろうが、生命保険金の受取人を自分ではなく、特定の人物にしておけば、同じことになります。
でも、相続対策となると、個人年金の生命保険に人気が集るのです。
理由は簡単です。
若いときであれば、掛け捨ての生命保険でも入れますが、相続対策を考える年齢になると、持病があったり、過去に大きな手術をしていたりして、生命保険の加入できないことが多くなるのです。
ところが、個人年金の生命保険は、単純に死亡すると、今まで生命保険会社に積み立ててあったお金が、指定された特定の人物に払い戻されるだけです。
生命保険会社は、そのお金を運用して、その利益から運営費を受け取り、残りを払い戻すだけなので、リスクがありません。
そのため、健康上の問題があっても、ある程度の範囲ならば、個人年金の生命保険は加入することができるのです。
だからこそ、相続対策として使われているのです。
ただ、年齢だけは、あまりに高すぎると断られてしまいますので、できれば、早めに対策を練るべきでしょう。
それでは、早速、年金型の生命保険に加入しようと思った方も、ちょっと待ってください。
メリットだけではなく、デメリットもあります。
先ほど言ったとおり、生命保険会社が運用を行うのですが、それは、国債、株式、外国債、それを組み合わせたりなど、いろいろあります。
生命保険会社によっても違いますし、自由に選択し、途中で組み替え自由というものもあります。
ほとんどの人がよくわからないので、営業マンの言われるとおりに契約してしまいがちです。
ここで、注意することは、あくまで、相続対策として生命保険を使っていることを忘れてはいけません。
パンフレットに載っている予想の利率が良いから、最初に予定していた金額よりも多く、生命保険に加入してはいけません。
生命保険会社は運用のプロですか?
あくまで、保険のプロです。
運用の全部、または一部を証券会社や運用専門会社に委託していることが多いのです。
その委託先も手数料を取り、生命保険会社も手数料を取っているのです。
そもそも、利率を目的にするならば、直接、その証券会社か運用会社にお金を預けるべきです。
それでも、この年金型の生命保険に加入するのは、相続対策だからです。
また、絶対にやってはいけないことがあります。
それは、借金をして、生命保険に加入することです。
そんな人はいないだろう?と思うかもしれませんが、バブル時代に、相続税の対策と言われて、多くの人が、借金をして個人年金の生命保険に加入しました。
結果は、生命保険の払戻金が大きく目減りして、莫大な借金が残り、破産した人さえいます。
運用であるかぎり、絶対はありません。
しかも、その運用は2年、3年という短期ではなく、20年、30年という長期に渡るのです。
20年後の経済を予想できる人がいるでしょうか。
天才的な直感力を持ち、すばらしい運用成績をあげる人がいたとしても、会社で働くはずがありません。自分のお金をどんどん増やし、他人のために運用していないでしょう。
運用は、他人任せで、しかも不安定なのです。
一方、借りたお金は、絶対に返さなければいけません。
途中で、免除してくれることもなく、運用に関係ないのです。
営業マンから、借金をして、個人年金の生命保険に加入すれば、代償分割(※2)にも有効ですと勧められることもあります。
でも、それだけは、断ってください。
先ほどの愛人にすべての財産を相続させようとするのと同じように、相続税の対策もやりすぎてはいけません。
あとで、後悔します。
自分の貯金から、自分の老後の生活費を差し引いて、余裕のある範囲で、無理なく加入してください。
※2 両親と男の子供2人の家庭で、父親が亡くなったときに、自宅しか相続財産がないとします。母親と長男は同居しているとすれば、それを相続して住み続ければよいとしても、別居している次男は相続できる財産がゼロ円になってしまいます。そのときに、母親と長男が、相続財産ではなく、自分の貯金から、次男にお金を支払うことで、遺産分割を調整する方法を、代償分割と呼びます。

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