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2013.06.12

あなたは、遺言書を書いたことがありますか? やっぱり書くべきですよね

最近、エンディングノートという本が売れているようですね。

「遺言書を書くのはちょっと大げさなので、まずはエンディングノートぐらいから始めてみようかなあ」

という方が多いのが、理由のようです。

そのあと、遺言書を書く人は、どれだけいるのでしょうか?

そもそも、遺言書とは、相続とは違い、贈与の一種です。

生前贈与は、生前に父親が子どもと贈与契約書を結んで、お金を振り込んだり、不動産の名義を変更する行為です。

そのため、父親と子供の間で、お互いの合意が必要となります。

まぁ、お金をもらえるのに、拒否する子供はいないと思いますが。

契約なので、誰に対しても、どのような財産であっても、贈与することが可能です。

一方、遺言書は、父親が亡くなることを原因に、お金や不動産を、指定した人に贈与する行為です。

父親が遺言書を作成したあと、机の中にしまっておくと、妻や子供は、誰が、どの財産をもらえるのか分かりません。

父親が亡くなって、初めて、遺言書を開けてみて、その事実を知るのです。

ただ実際には、妻には内容を知らせておく人が多いようです。

それに、最低でも遺言書がある場所を知らせておかないと、亡くなったあと、誰も見つけることができず、意味がありません。

遺言書では、財産をもらう側、つまり妻や子供の同意は必要ありません。

あくまで、父親の一方的な気持ちだけで、決めることができます。

ただ、遺言書は相続ではなく、贈与なので、財産をあげる人は、誰でも指定することができます。

第三者にあげる人は少ないと思いますが、孫、面倒を見てくれた息子の妻、甥や姪などに財産をあげるという遺言書は、実際に、私は見たことがあります。

そして、生前贈与と同じように、財産の取り分などは決まっていません。

妻に全財産とか、長男には自宅と預金をすべてとか、自由に決められます。

もし遺言書がなければ、相続人が集まって話し合いを行い、遺産分割協議書を作成して、父親の財産の分け方を決めることになります。

このとき、父親の意思が相続人には分からないので、私が、俺が、となり、家族間で喧嘩になることも多いのです。

この遺産分割の話し合いに、民法で定められている相続人以外が参加することはできません。 相続人だけが、財産を相続できるのです。

そして相続では、各人の法定相続分が民法で決められていて、目安になります。

もちろん、その通りに分ける必要はありませんが、相続人で話し合いになります。

ただ相続人同士がもめて、家庭裁判所で争われると、だいたい法定相続分で落ち着きます。

裁判官も、相続人1人の肩を持つことはできませんし、それぞれの家庭の事情は、分かりません。

「私は自分のお金で食材を買って、毎日、父親の食事を作りに行ってました」

と娘に主張されても、それがどのくらいの財産に相当するのか、

「俺だって、父親が病院に行くときに、いつも会社を休んで車で連れて行っていた」

と長男が主張しても、ガソリン代を補てんすればよいわけでもないでしょう。

どちらにせよ、遺産分割の話し合いがまとまらなければ、父親のお金を引き出すこともできず、不動産の名義を変えることも、上場株を売却することも、移管することもできません。

もし、遺言書があれば、あくまで贈与なので、遺産分割協議書がなくても、遺言書だけで、預金をおろすことも、不動産の名義を変えることもできてしまいます。 そもそも、遺産分割の話し合いを相続人で行う必要もないのです。

遺言書には相続人以外の名前も書けるので、相続人だけの話でもありません。

つまり、遺言書があれば、家族間で争うこともなく、スムーズに遺産分割が進みます。

だからこそ、私は、遺言書は書くべきだと思うのです。

ただ、ちょっと書く前に、知っておくべきことがあります。

1.遺言書は何度でも書き直せる

遺言書は、生前であれば、いつでも何度でも書き直すことができ、一番新しいものが有効となります。

遺言書は作成したときに、それが最善だと思っていても、そのあと生前贈与をしたり、家族関係や心境が変化して、撤回したい場合もあるはずです。

もしくは、一戸建ての自宅を売却して、マンションに買い換えるなど、財産の内容が大きく変わった場合にも、書き直した方がよいでしょう。

そして、遺言書を書き直したときに注意すべきことは、あくまで前の遺言書と重なった部分だけが撤回されたとみなされることです。

たとえば、1回目の遺言書では、

「自宅は長男、預金は次男、アパートは三男に相続させる」

となっていたとします。

そして、2回目の遺言書で、

「自宅は次男、預金は三男の子供に相続させる」

と書かれていて、かつアパートが相続財産として残っていれば、1回目の遺言書で指定されたとおり、三男が相続することになります。 

さらに、生前に自宅が売却されていて、そのお金が預金に入っていたとします。

1回目と2回目の遺言書に記載されている自宅が、相続財産としては存在しないことになり、長男も次男も自宅をもらえません。

そして、預金を相続する三男にお金が渡ることになります。

長男と次男は、何も相続できません。

すでに遺言書を作成している方も、何年も経っているならば、もう一度、自分の財産と比べて確認してください。

2.予備的な遺言も書ける

夫が遺言書に、財産を妻や子供にあげると書いていても、妻の方が先に亡くなってしまうこともあります。

遺言書がすべて無効になることはありませんが、妻にあげる財産の部分は、もらう人がいないので遺産分割の対象になってしまいます。

夫と妻では、どちらが先に亡くなってしまうかは予想がつきません。

そこで、遺言書で、予備機的に、「もし妻が遺言者の死亡以前に死亡したときは、その財産を、〇〇に相続させる」

と決めておくことができます。

これを「予備的遺言」といいます。

妻が亡くなったときに、夫の病気や痴呆が進んでいて、新しい遺言書が書けないという事態もありえます。

予備的遺言は実務で、よく見受けられる方法です。

3.文字が書けなくてもよい

自筆証書遺言は、全文自書しないと有効な遺言書にはなりません。

そのため、病気やケガで手が不自由になり、文字が書けなくなった場合には、利用できません。

一方、公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認して、自分のパソコンで遺言書を作成してくれます。

父親本人が、病気などで、署名することができない場合には、公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。
 
しかも公証役場に行かなくても、出張費を支払えば、自宅、病院、もしくは老人ホームにも来てくれます。

足が不自由になってしまった方でも利用できるのです。

なお、公証役場には遺言書の検索システムもあり、平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、全国の公証役場で検索を行うことができます。

ただし、その存否の照会・閲覧・謄本請求については、遺言書を作成した父親が生前の間は、本人しかできず、推定相続人でも請求はできません。

実際の相続のときにも、請求できるのは、相続人、遺言書に記載された人など、利害関係人に限られるので、他の人に見られてしまう心配はありません。

そもそも、被相続人のすべての財産を生前贈与してしまうことは現実的ではありません。

贈与税の問題だけではなく、親も自分の生活費や病院代をある程度、残しておきたいと思うからです。

だから、財産を分ける遺産分割の協議で家族がもめないように、すべての人が遺言書を書いておくべきだと考えます。

それがあるだけで、無意味な争いを避けることができるのです。

平成23年度の家庭裁判所の統計データを見ると、遺産分割でもめて、

裁判所に申し立てられた件数が、約1万7000件

5000万以下の財産で争っている家庭が、約76%

1億円以下の財産で争っている家庭にすると、約88%

にも達しています。

相続人間で争っても、お互いの弁護士を通じて和解していることも多いので、

裁判所に申し立てない件数は、多分、この何倍にもなるでしょう。

相続財産の金額に関係なく、遺言書を書いておくべきだと思いますよね。

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